空き家対策特別措置法

「空き家対策特別措置法」は平成26年11月に成立、平成27年2月に全面施行された法律で、正式名称を「空家等対策の推進に関する特別措置法」といいます。

総務省統計局が発表した「平成30年住宅・土地統計調査」によれば、平成30年の総住宅数に占める空き家の割合(空き家率)は13.6%となっており、昭和63年から増加が続いています。[注1]

空き家が増加傾向にある時代において、「空き家対策特別措置法」の2条1項では、空き家を「建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む)」と定義しています。[注2]

空き家が衛生面や防犯面において問題があることは常々指摘されていましたが、空き家対策特別措置法が制定される前までは、どれだけ問題があろうとも、所有者の許可なしに敷地内に立ち入ったり対策を行ったりすることはできませんでした。

しかし本法律が施行されたことで、適切な管理が行われていない空き家に対して自治体による立ち入り調査が行えるようになり、調査によって問題があると判断された空き家を「特定空家」に指定できるようになりました。

特定空家に指定された空き家に対しては、自治体が助言・指導・勧告・命令を行えるようになります。

「助言」および「指導」は、空き家の現状を是正してもらうために行われるものですが、どちらも法的効力はありません。しかし、助言および指導に対して適切な処置を行わずに「勧告」を経て「命令」が出されてしまうと、そこには法的効力が発生し、命令に背くと50万円以下の罰金が科せられます。

命令を受けたにも関わらず、空き家の状況に一向に改善が見られない場合、行政が本来の所有者に代わって適切な処置を行い、その費用を所有者に請求する「行政代執行」が行われる可能性もあります。

行政代執行が行われたにも関わらず、費用の支払いを拒み続けた場合、所有財産が強制的に公売にかけられてしまうことがあります。公売とは行政の行う競売であり、公売に財産所有者の同意は必要ありません。所有財産には、空き家だけでなく、住んでいる家や車も該当するので注意が必要です。

もし自身の所有する空き家が特定空家に指定されてしまった場合は、助言・指導・勧告・命令のできるだけ早い段階で対処するようにしましょう。

また、空き家が特定空家に指定されると固定資産税の優遇もなくなり、支払わなければならない税金が最大で6倍まで増える可能性もあります。空き家が特定空家に指定されることのないように、普段から適切な管理を行うことを心がけましょう。

  [注1]平成30年住宅・土地統計調査

https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2018/pdf/g_gaiyou.pdf

[注2]e-Gov:空家等対策の推進に関する特別措置法(平成二十六年法律第百二十七号)

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=426AC1000000127